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映画レビュー 「ブラック・サンデー」

ブラック・サンデー  原題:Black Sunday

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【allcinema】  【IMDb】

午前十時の映画祭 青の50本で鑑賞。

元AP通信のトーマス・ハリスのベストセラー小説が原作。
大統領を含む数万人の観客が押し寄せるスーパーボールのスタジアムを襲おうとするテロリスト集団「黒い9月」と、イスラエルの特殊部隊の攻防を描いたアクション・スリラー。

特殊部隊隊長のカバコフにロバート・ショウ。テロ首謀者のダーリアにマルト・ケラー。テロに加担する元米軍のランダーにブルース・ダーンが演じる。最近ではマルト・ケラーは「ヒア アフター」にも出演している。

どうも当時は上映に当たりテロ予告があり、お蔵入りになったようである。

冒頭から、巧みに顔を明かさずミステリアスさを醸し出すダーリアの様々なカットで、すぐに作品に引き込まれる。
この作品中で一番凝ってるカットだ。まさかこの様な美女がテロ首謀犯だとは思わないだろう。そして主人公がイスラエルの特殊部隊員というのも絶妙な設定だ。この時期は中東に平和が訪れる予感のあった時期でもあり、政治的な背景が見え隠れしなくもない。

思わずシンパシーを感じてしまったのは、ランダーである。彼は飛行船の胴体にプラスチック爆弾と鉄球を埋め込み、飛行船を巨大散弾銃として改造し、スタジアムの観衆を殺戮する計画を企てる。彼はダーリアの反対を振り切り、田舎の小屋でテストを実行する。そして鉄球が均等に飛び散り、小屋に均等に穴が開いたのを確認すると満足げだった。この瞬間、完璧症で予測と実際が一致する所に快感を感じるあたり、技術者として妙な共感を得てしまった。

最近では対テロ作品と言えば、筆頭に挙がるのが24だろう。かなりの長シーズンに及んだため、24がテロ映画(作品)のスタンダードになってしまっている感は否めない。それはスピード感であり、規模間である。さすがに24のスピード感には足元にも及ばないが、規模間としてはなかなか面白い仕上がりになっている。当時としてはアメリカのお祭りともいえるスーパーボールで、その観衆を飛行船から狙うという発想はエキサイティングだ。

クライマックスのシーンでは、今観れば意外と単純な攻防戦ではあるが、スターウォーズのジョン・ウイリアムズのBGMとも相まって、何故かとてもスリリングで手に汗をかいてしまう。当然と言えば当然なのだが、前述の田舎の小屋でのテストにより、今回のテロ兵器の威力を見せ付けているので、被害が想像できてしまう。それも緊張感を煽る一助になっており、単純ながらも感心してしまう。

当時の時代背景を考察しながら人物関係を追う楽しみや、やはり映画史上、かなり印象的な飛行船のシーンは映画ファンは必見だろう。

評価:★★★★★★★☆☆☆

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映画レビュー 「クレイマー、クレイマー」

クレイマー、クレイマー  原題:KRAMER VS. KRAMER

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【allcinema】  【IMDb】

午前十時の映画祭 赤の50本で鑑賞。言わずと知れた名作なのだが、観たのもだいぶ昔なので観なおしてみることに。
この作品でオスカーの作品賞を、ダスティン・ホフマンは主演男優賞、メリル・ストリープは助演女優賞を獲得している。

今までの生き方に絶望し、そして仕事に没頭し家庭を顧みなかった夫のテッド(ダスティン・ホフマン)に愛想を尽かしたジョアンナ(メリル・ストリープ)は、子供のビリー(ジャスティン・ヘンリー)も置いて家を出てしまう。残されたテッドは仕事で重要なポストに就きながらも、子育てを一人奮闘する。そして2人は子供の養育権をかけて法廷で争う事になる。

先ず感じたのは、改めて見直して本当に良かったという事だ。ワタクシがこの作品を観たのは、確か学生の時だったと思う。その時とは自身の経験、環境が全く違うため、より深く作品を理解する事ができ、感動の大きさが当時とは比較にならなかった。昔観たきりで、あまり内容もうすら覚えという方は、是非見直すことをお勧めしたい。

ストーリーは離婚の為に家を出たジョアンナのどうして良いか分らない憤り。残されたテッドの子育てを通じ父親になっていく様、そして板挟みにされた子供の感情を間髪入れずに描いていく。

脚本の中で特徴的なのは、物語はどんどん進んでいくのに、感傷に浸る様なシーンが殆ど無いのに、観てる方はその気持ちが手に取る様に分かるところだ。感動シーンを作って時間を掛けて見せるのは有りがちだが、本作ではそういうシーンは多くなく、あってもコンパクトにまとめられている。テッドやジョアンナ、そしてビリーの気持ちの移り変わりや想いは、振る舞いや台詞に全てが凝縮されていて、観ていれば全てを察する事ができる。
その最たるが、有名な「フレンチ・トースト」のシーンであろう。

ただ見方によっては、滅茶苦茶な脚本と映る場合もあるだろう。冒頭で何の相談も無しに(少なくとも劇中では)突然子供を置いてジョアンナが出ていってしまうからだ。普段の何気ない生活の中でメッセージを送る妻、そしてそれに気付かずを無視する夫的なシーンが冒頭にあれば少しは理解できる気がするが、出ていく寸前のやり取りで一瞬あるだけで、明確な経緯は説明されていない。これはテンポを良くするためだったり、脚本を書いたのが男性だからとか色んな事が考えられるのだが、唐突感が大きく序盤でつまづく人もいるかもしれないが、そこはこのレビューを読んで是非補完して頂きたい。

ラスト15分は涙無くして観られないだろう。父親になついたと思ったら今度は母親の元に行けと言われ、泣きじゃくり親に翻弄されるビリー。そしてビリーをテッドから無理に引き離せないと悟るジョアンナ。ビリーの部屋へ行くために元夫婦でリフトに乗る。この先は、二人が関係を修復したのか、それとも裁判の結果と裏腹にジョアンナが親権を放棄したのかは分らない。が、ここで終わるラストシーンの余韻はたまらないものがある。

ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープ、本作におけるこの両役者に対しては何もコメントする事ははっきり言って何も無い。ダスティン・ホフマンのだんだん父親になっていく表情の変化や、メリル・ストリープのどこか後ろめたさを感じ目に涙をいっぱいに溜めながらも法廷に立つシーンなど、素晴らしいとしか言いようが無い。

30年前の作品だが、今となってもその内容と完成度は唯一無二の作品だ。
是非、大人に観て欲しい作品だ。

評価:★★★★★★★★★★

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映画レビュー 「アンチクライスト」

アンチクライスト  原題:Antichrist

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【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ドッグヴィル」のラース・フォン・トリアー監督が放つ衝撃の問題作。日本公開は無理かと思われていたが、奇跡的に公開された。全6章から構成され、それぞれがストーリー展開上、重要な役割を持っている。

夫(ウィリアム・デフォー)と妻(シャルロット・ゲンズブール)は愛し合っている最中に、子供が窓から転落死してしまう。深い悲しみに落ちる妻。セラピストである夫は妻の治療のため、2人がが「エデン」と呼ぶ森に出かけるが、そこは・・・。

初めに断りを入れておきたいのだが、この作品はとても難解な部類に入る。さらには宗教的な知識もあった方が良い。よって1度観ただけなので、解釈が間違っている部分や、記憶が正しくないところが出てきた場合はご容赦願いたい。
またある程度のネタバレ無しには書けないのでその点もご容赦頂きたい。

ストーリーは全6章で構成される。プロローグで子供が転落死するシーン。これがモノクロでヘンデルの「私を泣かせて下さい」のBGMがかかり、とても素晴らしい。絶頂に達する瞬間、子供が地面に叩き付けられる瞬間、そして洗濯機が止まる瞬間が全て一致し、アーティスティックで開いた口が塞がらない。

続いて、悲嘆、苦痛、絶望、3人の乞食、そしてエピローグへと続く。悲嘆(Grief)は鹿、苦痛(Pain)にはキツネ、絶望(Despair)はカラスが関係される。これらがキリスト教的にどういう意味を持つかは分からないが、それらが3人の乞食として繋がっていく。

数少ない登場人物である妻は、セックスジャンキーと言えるくらい性欲に溺れている。そして論文を執筆するようなのだが、その研究内容は「中世の魔女狩りや悪魔」である。そして子供への虐待。全てが聖書の教えに反している。
恐らく性欲に取りつかれた妻は、それを悪魔に取りつかれているのと同義で捉え、その研究の為に悪魔や魔女狩りを研究していたのではないか。そこへ自分の子供が転落するのを見ていたにも関わらず、その瞬間の性欲に勝てなかった事で、さらに自分を追い込んでしまった様に見えた。

一方の夫は妻の性欲に応えはするものの、基本的に自分より劣っているという態度で見ていることがうかがい知れる。そして妻に対する無関心は、妻をさらに追い込む事を助長させていったと思える

さて、ここからが解釈の難しいところなのですが、妻は夫に救って欲しかったのでは無いだろうか。普通にセラピーでも良いし、3人の乞食が集まって結果でもどちらもで良いから、とにかく悪魔が乗り移ってるとも言えるこの状態から脱したかったと感じた。最後は自ら歯止めの効かない自分への戒めとして、あそこをハサミで切り取るとこまで追い込まれているのだから。

「自然は悪魔の教会」というフレーズがあったが、聖書やキリスト教では、女性は特に性に関してはかなり抑圧されている。それが自然の下では解放され、本能に従える様になる。また魔女狩りの時代は女性は悪魔扱いされていたこともあり、女性が解放される場所=自然が教会という風に繋がっている様にワタクシは捉えた。

そしてラストシーン。ある意味ここが一番の問題な部分なのではないかと感じたのだが家に戻る夫が途中木の実を食べると、大勢の女性がエデンを駆け上がっていく。女性のこそが「アンチクライスト」だと言ってるようだった。

性描写等が取り沙汰されており、確かにそれも大きなトピックスではあるのだが、一番の見どころはやはり宗教観の解釈だろう。ラース・フォン・トリアー監督自身の解釈を真っ向からぶつけた作品。正直一度観ただけでは解釈しきれないが、そのメッセージ性は存分に伝わってくる。観たまんまを評したのではこの作品の本質に辿り着けない。そんな作品だ。

評価:★★★★★★★★☆☆

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映画レビュー 「英国王のスピーチ」

英国王のスピーチ  原題:The King's Speech

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【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】

吃音で悩む英国王ジョージ6世(コリン・ファース)が、妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)と言語聴覚士のライオネル(ジェフリー・ラッシュ)と共に、コンプレックスを克服していく様を描いた実話がベースの物語。監督はトム・フーパー。

幼いころから吃音で悩んできたジョージ6世は、内向的な性格であり、人前で喋るのはもっての他だった。様々な治療法を試すも効果は無く諦めていたが、エリザベスが探してきたライオネルは、医師でも無く、他の医師とは全くやり方の違う所謂「異端」であったが、唯一効果のあったトレーナーだった。やがて、父が亡くなり、兄も王の座を返位してしまったため王位を継承することになってしまうジョージ6世。そして第2次大戦の開戦のスピーチが迫るが・・・。

アカデミー賞12部門にノミネートされ、上質な感動作とくればアカデミー会員のツボにハマらないわけがないという、そういうテイストを持った作品だ。

ストーリーとしては前述の通りだが、本作の見所は、主人公が会話が苦手なのに、会話劇を繰り広げながら、ライオネルとの信頼関係を築き上げていくところであろう。そして彼の吃音の原因ともなった、華やかなロイヤル・ファミリーの裏側にも触れられていく。

会話劇なので、やはりキャストに注目が集まる。主役のジョージ6世役のコリン・ファースは、その言葉が出ない「間」や、焦りの表情を十分に使い、言葉なしでジョージの気持ちを存分に表していた。一方で癇癪を起し、怒り狂う時は喋れるので、その時は怒涛の口調で気持ちを表現できていると感じた。みなさんも大勢の前で話す時に、言葉に詰まってしまう時がないだろうか。その微妙な間や焦りが手に取るように伝わってきて、思わず手に力が入ってしまった。

ライオネル役のジェフリー・ラッシュはジョージ6世とは対照的に良く喋る。医師ではないもの経験値で自信を持ち、平民である自分に、ロイヤルファミリーであるジョージ6世の心を開かせていく様は、とても暖かく、ユーモアに溢れながらも相手を敬い、とても魅力的だ。

脚本は、俳優の名演ありきの内容だと思う。ある意味、演じきってくれなければ見ていて何も伝わってこないもろ刃の剣ではあると思う。しかし本作では、特にコリン・ファースの名演で脚本の本来の持ち味が出ていたと思う。終始まじめで感動のシーンばかりかというとそうでも無く、随所にユーモアが散りばめられている。ジョージ6世とライオネルの呼び方しかり、発音に苦しみ、SやFで始まる単語を連呼したり、皮肉や言い回しが面白く、緩急が効いていた。

しかし全般的に感じた事は、非常に上質な感動作ではあるものの、もの凄く心を動かされる何かがあるかと言えば、それは「No」だ。題材が王室ということもあって、あまり突飛なことができなかったのかもしれない。とにかく一線を越えられてない感は否めなかった。もしかしたら予告編の出来が良すぎて期待し過ぎたのかもしれないのだが・・・。

ストーリーも難しくなく、王室(皇室)制度がある日本人には、彼らの位置付けも理解しやすく、見易い作品だと思う。普段映画をあまり見ない人でも、広くおススメできる作品だ。

評価:★★★★★★★★☆☆

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映画レビュー 「恋とニュースのつくり方」

恋とニュースのつくり方  原題:Morning Glory

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【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】

監督に「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル、脚本に「プラダを着た悪魔」のアライン・ブロッシュ・マッケンナで贈るロマンティック・コメディ。

TVプロデューサのベッキー(レイチェル・マクアダムス)は長年勤めたTV局を突然解雇されるが、意地で他局のプロデューサの職を得る。しかし担当する番組は、万年最下位の打ち切り寸前の早朝情報バラエティである「デイブレイク」。視聴率挽回のため、長年憧れであったマイク・ポメロイ(ハリソン・フォード)を起用し、立て直しを図るが、共演のコリーン・ペック(ダイアン・キートン)とも上手くいかない。番組の行く末は・・・。

観終わってとても気分の良い作品。

ストーリーはそれほど複雑ではなく、瀕死の番組を立て直すべく、とてもプロデューサに見えないベッキーが、大物キャスターのマイクに振り回され、コリーンとの確執も生まれてしまう。過去の経歴に囚われて、報道する内容も選ぶようなマイクだったが、徐々にベッキーと理解しあえ、最後は番組にかかわる全員に一体感が生まれハッピーエンドというもの。まるで絵に書いたようなストーリーだし、多少、「プラダを着た悪魔」臭がしないこともないが、ロマンティック・コメディとして十分楽しめる内容になっている。

それぞれの役者の持ち味が十分出ており、ハリソン・フォードの重さ、レイチェル・アクアダムスの軽さが上手く癒合してバランスが取れていた。また、普通の笑いあり、ブラックな笑いあり、皮肉な笑いありでとても楽しめ、主人公のベッキーも頑張る姿がとても清々しく映り、純粋に楽しめた。

本作で過去の栄光に囚われていて、真面目路線の仕事しかしないマイクだが、ラストには番組内で料理を始める。それは何か一皮むけたというか、彼の中で新境地だったと思うが、それが丁度ハリソン・フォード自身に生き写しされているようだった。ワタクシの記憶ではハリソン;フォードと言えば、ハン・ソロやインディアナ・ジョーンズのイメージだし、最近ではICE特別捜査官か。何にしても映画としてアッパーエンドの役しかやってない。それが、本作の様なロマンティック・コメディに出演するなんて想像ができなかった。だが、コメディにおけるハリソンは、やはりハリソンだ。エプロンをして料理をしていてもやはり様になる。悔しいくらい格好いい。

ベッキーは良く喋るし、とてもプロデューサとか思えない風体だが、中身はしっかりしているという、ギャップが持ち味。プロデューサなので番組に出ないので派手な見せ場も無いのだが、プライベートは不器用ながらも、番組に対する一途な想いは誰もが応援したくなるだろう。

ベッキーの向こう見ずで一途な所や、その熱さ、そしてマイクの仕事に明け暮れた後に得た物、そして冷めた現実、さらに前述したキャラ的な軽さと重さ、とてもコントラストが効いていて、それらが最後は調和しハッピーエンドに終わるのは、とても気分が良い。

コリーン役のダイアン・キートンは本当に頑張ったと思う。キャラ的にも立ち位置がちょっと微妙だったが、上手くベッキートマイクの三角関係を作りだしていたし、番組の様々な企画をこなす姿は頭が下がる思いだ。最近REDにしろベテランの頑張りが若手より光っているとは実に面白い。

最後にどうしても言わなければ気が済まないのが1点ある。それは邦題だ。この作品は恋はただの伏線なだけで、メインストーリーとはあまり関係が無い。恋とつけて、いかにもラブコメと思わせるのは、幾らなんでも有りえない。

ベタベタな物語といえばそうなのだが、それをしっかり作っていて、観た後に爽快感が残る作品は意外と少なく、ハッピーエンドのお手本の様だ。そういう意味でも、本作は良作と言って良いだろう。

評価:★★★★★★★☆☆☆

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映画レビュー 「ヒア アフター」

ヒア アフター  原題:Hereafter

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クリント・イーストウッド監督、スティーブン・スピルバーグ製作総指揮。「死」から「生」の素晴らしさを3組のオムニバスドラマで伝えるヒューマンドラマ。主演はマット・デイモン、共演セシル・ドゥ・フランス。

フランスのジャーナリストであるマリー(セシル・ドゥ・フランス)は恋人との休暇中に、突然発生した津波に巻き込まれ臨死体験をする。そして彼女はその臨死中にみたビジョンが何であったか突き止めようとする。
サンフランシスコでかつて霊能力者として活躍していたジョージ(マット・デイモン)は、死者と隣り合わせの人生に疲れ、過去から逃れようとする。料理教室で出会ったメラニー(ブライス・ダラス・ハワード)に好意を寄せるが・・・。

この作品のワタクシのイメージは「瞑想」だ。とても穏やかで、感動するところ、そうでないところ、全てのトーンがまるで瞑想をしている様にフラットだ。カットも音楽も台詞も全てが、あえて躍動感を抑える様な演出がなされている。これにより、「生」と「死」の境界が曖昧になり、とても身近に感じるのである。

この穏やかさが実に心地よく、振幅が小さく波長が長い感動が得られる。特に音楽が素晴らしい。正直、気を抜くと眠くなりそうな位心地よいのだ。この瞑想状態とも言える状態での感動が、この作品の醍醐味だといえよう。

ただし、この心地よさは一歩間違えると、退屈になってしまう。本作は3つのオムニバスが1つのストーリーに繋がる形式だが、それぞれのシークェンスが意外と長い。(時間的に本当に長いかは分らないが)料理教室のところは、ダラダラ感が否めなかった。

加えてストーリーが1本になるところは、今までの穏やかさは無く、意外と無理矢理というかあっさり繋がっていく。なので、ラストシーンのテーマが今での集大成である「生」や「繋がり」なので、もう少し各シークェンスをスリムにし、その時間でラストを作りこんだ方がベターだったのではと考える。

また、
この瞑想感はかなり良い出来だと思うし、これだけでもこの作品の価値はあるかもしれない。しかし、明らかにクライマックスはラストシーンなのだ。そうした時に作品全体で考えると作りこみが足りないような気がしてならない。イーストウッド作品ということで、何となくポジティブな評価への迎合を感じない事も無いのだが、逆にイーストウッドであれば、その辺のバランスもきっちり作りこみ、最後まで瞑想感を維持して欲しかったと個人的には強く感じる。

評価:★★★★★★☆☆☆☆

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映画レビュー 「幸せの始まりは」

幸せの始まりは  原題:How Do You Know?

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キューティ・ブロンドのリース・ウィザースプーンが主演のラブコメディ。共演はオーウェン・ウィルソン、ポール・ラッド。

ソフトボールチームのキャプテンを務めていたリサ(リース・ウィザースプーン)ももう31歳。チームからも戦力外通告され、第2の人生を歩む羽目に。元々交際していて、同棲を始めたメジャーリーガーのマティと(オーウェン・ウィルソン)と、ひょんな事から食事をして知り合ったジョージ(ポール・ラッド)との三角関係に落ちてしまう・・・。

興行成績も踏んだり蹴ったりで、各ブログでもネガティブな意見しか聞かれていませんが(笑)、ワタクシはなかなか楽しめました。ソフトボールチームのアメリカ代表から外されたリサが、初めて一人でソフトボール以外の事で人生を踏み出していかなければならない。これが骨格になり、そこに2人の性格が正反対な、マティとジョージが絡んでいく。

作品全般において、突っ込みどころはとても多い。ソフトボールチームのレギュラーから外されても、コーチとして残れば良いじゃないか、とか、すぐに「出ていく!」とか簡単に言ってしまうリサに対して甘いんじゃないかとか。それはそうなんですが、ワタクシはこの手の部分は後からついてくれば良いや、と思ってしまう口なので、先ず笑えることが先決という見方である。

笑いの部分に関してはあまり練られたものではなく、結構ベタベタではあったが、それでも思わず笑ってしまうシーンが多く楽しめた。特にジョージのリアクションはなかなかだ。加えてマティもバカっぽさ全開で気が抜けてしまう可笑しさだ。この2人の笑いが随所にあり、良く笑わせてくれた。下ネタとかでもなく、何の緊張感もいらずに笑えるのは久しぶりな気がした。

笑いも対照的ならば、優しさも対照的だ。まぁあそこまで気の回る男はそうそうはいないと思うが、ジョージのハリウッド節全開の台詞には、若干の気色悪さを感じつつも、上手い事言うなぁと思ってしまう。でも一度はこういうハートフルな台詞をそらで言ってみたい(笑)それとアニー(キャスリン・ハーン)に子供が生まれたシークェンスでは、これもベタだが、微笑ましい1シーンだ。

さて、これらに色んな設定やらなんやらが付いてこれれば良いのだが、そこがちょっと難しい。ジャック・ニコルソン演じる父チャールズがわざわざ登場し、詐欺容疑の件があるが、わざわざジャック・ニコルソンが登場するほどの事だったのか?とも思う。それが影響してか、ポスターにも4人が載っているが、この4人のバランスが難しいことになってしまっている。だいたいオチは分かっていても、皆の個性が強すぎ、かつ詐欺だの何だの難しい状況になってしまうので、フォーカスの当て方が難しくなっている。

加えて言えば、笑いがベタベタと書いたが、全般的に新しさが見当たらない。ストーリー展開や演出も特筆するものは無い。反面、安心して観ることができるのも事実だ。そういった意味では、ワタクシみたいに笑えれば良いやという人や、デート映画を考えてる人は劇場で。そうでない方はDVDでも良いかもしれない。

最後に、リース・ウィザースプーンのほうれい線が気になって仕方なかった。そりゃ歳も取るので仕方ないんだが。

評価:★★★★★★☆☆☆☆

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映画レビュー 「パラノーマル・アクティビティ2」

パラノーマル・アクティビティ2  原題:Paranormail Activity 2

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低予算にも関わらず、大ヒットを記録した前作、パラノーマル・アクティビティの続編。前回はホームビデオでの撮影映像が中心だったが、今回は家の中の監視カメラでその超常現象を捉える。

2006年、サンディエゴ郊外。初めての男の子、ハンターが誕生したレイ一家に、突然空き巣被害が発生する。しかし、盗まれたのは叔母からもらったネックレスのみで特に被害はなかった。念のため、監視カメラを家中に付ける父ダニエル(ブライアン・ボーランド)。しかし、物音は日ごとにひどくなる。そして監視カメラに映っていたものとは・・・。

正直、がっかりです。興行成績的にはそこそこ行ったみたいですが、内容的には最低でした。前作の時に、ブレアウィッチの二の舞になって欲しくないと書いたのですが、まんまとなってしまったというか、それ以下の出来でした。

怖い要素は全くと言って良いほど無い。皆無と言っても良く、ただビックリするだけだ。ドン!っていう突然発する大きな音に。この要素だけでホラーは無いだろう。

前作がかなりヒットしたせいで、今回はどうやって見せようか製作陣は悩んだはずだ。そして選んだのが監視カメラによる多点映像。アイデアとしては悪くないと思う。しかし、超常現象自体は前作から意外と地味なのが特徴だ。悪魔が相手で姿・形は見えない。この小規模な現象が、前作は寝室にフォーカスされ丁度良かったのだが、本作は家全体が対象になってしまい、かつ映像が小さいため、正直何が起こってるか良く分からないと言われても仕方ないレベルになってしまっている。

悪魔との契約の件も良く分からないし、頑なに監視カメラの映像を確認しようとしない父親にも疑問が残る。
ビックリするシーン以外はホント雑だ。唯一良かったのは、前作との繋がりが分かった部分。それだけだ。

本編もグダグダなら、その前の予告も全然だめだ。エンドロール中に何か衝撃のカミングアウトがあるかと期待していると、ただの続編の告知。この続編で悪魔との契約とかはっきりするのかもしれないが、こういう手法を取ってる時点で、配給会社の本作に対する危機感も露わになってるし、次回作もきっとそういうレベルなんだろう。

なまじ本国で本作も興行収入が得られてしまったので、同じコンセプトを踏襲する予感がするが、脚本次第だが、誰も期待してないのではないだろうか。

こう考えると、第2章 TOKYO NIGHTは良くできていた。さすが日本人というか、上手く昇華させていたように思える。
今リリースされているパラノーマルシリーズは、この第2章 TOKYO NIGHTがベストだろう。

評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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映画レビュー 「あしたのジョー」

あしたのジョー

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【公式サイト】  【allcinema】

もはや説明の必要も無いくらいの名作、あしたのジョーの実写版。アニメ劇場版「あしたのジョー」がほぼベースとなっている。主演の矢吹丈はNEWSの山下智久、力石徹は伊勢谷友介、丹下段平は香川照之が演じる。

昭和40年代の下町。ドヤ街で喧嘩に明け暮れる矢吹丈。そんな丈にボクシングの才能を見出した丹下段平。しかし丈は少年院送りに。その少年院で、丈が初めて憎しみを覚えるほどの相手、力石徹と出会う。因縁のライバルとなった二人は、プロボクシングの世界で白黒付けるべく、再び拳を交える。

毎回、コミックスやアニメが原作の作品に対しては、映画作品は別物と考えるべきと書いてきた。それはコミックスだから成立する演出が多々あったりするからだ。しかし今回のあしたのジョーは、ボクシングが題材だし、訳の分からん必殺技も無い。そして良く問題になる尺も、150分を超える長編ではあるが、既に劇場版が存在するため、別物と考えるのはちょっと難しくなる。加えて、これほどのビッグタイトルならば原作の存在は益々無視できなくなる。

結論から書こう。作品の出来は期待していたよりも全然良く、ここまで完成度が高いとは思わなかった。正直なところ他の作品と同じく、コミックス原作はグダグダなんだろうと対して期待していなかった。しかし、あしたのジョーとなので、観に行ったが、ホントに良く「らしさ」が出ていたと思う。

あしたのジョーの魅力、それは矢吹と力石の実直さ、熱さ、そして泥臭さ、これに尽きる。才能を持った2人が、お互いを倒したいという一心で、命を懸けて、苦汁をなめながらひたすら努力して、拳を交える。特に作品の後半では、力石の減量や、CGを交えながら相当気合の入ったファイトを山下智久、伊勢谷友介とも見せてくれ、十分満足がいくものだった。

カットも相当原作を意識していて、クロスカウンターや、矢吹vs力石戦等は、原作と全く同じカットを再現していたりする。先にも書いたが、打ち合いのシーンはとにかく原作の意識が随所にみられる。観てる最中、何故か原作のシーンが何度もよぎったのはこのせいだろう。
そして何よりも心配だったが、結果的に大成功だったのは、丹下段平だ。一人だけ特殊メイクで明らかに変なキャラなのだが、すぐに見慣れてしまい、違和感は全くなかった。

ただ完全に手放しで称賛できる訳でも無い。一つは脚本だ。前半にメリハリが無さすぎる。原作はブタで脱走だの、ねじりん棒に落下傘部隊など、到底そのまま再現するのは無理なのは分るが、もう少し緊張感のあるものにして欲しかった。そして主演の2人。劇中でやってる演技は泥臭く、とても好感が持てたのですが、如何せん、2人ともそもそもがシュっとし過ぎ。2人のイメージはもっと男臭いんですよ。2枚目半から3枚目が必死にやる姿が格好いいのに、最初から2枚目では美化し過ぎ。加えて山下智久はちょっと暗過ぎっていうかスカシ過ぎ。丈は人を食ったような、ちょっと小馬鹿にしたような喋りっぷりが特徴なはずだ。お蔭でとっつぁんが若干浮き気味な所もあった。

ダメの極めつけは宇多田ヒカルのエンディング曲だ。あれは幾らなんでも無いんじゃないだろか。

どうしても原作と比較気味になってしまい、他にも原作と違う細かい部分も多々あるため、往年のファンは気になってしまうかもしれない。しかし、実写でここまでできたのは正直素晴らしいの一言だ。

個人的には、製作側も原作にこだわるならば、アニメ劇場版をそのまま実写にしても良かったのではないかと思う。
原作が原作だけに、何やっても批判はでるだろう。だったら思いっきりそのまま再現してしまえば良い。
技術的にも無理はな話では無さそうだ。もし続編が作られる事になったらそういう選択もありだろう。

人の創ったものだから良し悪しは当然あるが、ワタクシは個人的にはポジティブだ。それは原作を観た時と同じ気持ちになったからだ。

評価:★★★★★★★☆☆☆

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映画レビュー 「ザ・タウン」

ザ・タウン  原題:The Town

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ベン・アフレットが「ゴーン・ベイビー・ゴーン」に続き、監督、主演を務めるクライム・ドラマ。舞台はボストンのチャールズ・タウン。人はそこを「タウン」と呼ぶ。そのタウンは世界で一番銀行強盗と現金輸送車襲撃が多い街。そこで代々強盗を家業としてきたダグ(ベン・アフレック)だが、ある日、銀行襲撃時にやむなく支店長であるクレア(レベッカ・ホール)を人質を取らざるを得ない状況に。彼女が近くに住んでいる事を知ったダグ達は、彼女に探りを入れるため接近するが、ダグはクレアに対して恋に落ちてしまう・・・。

ちょっと不思議な雰囲気を持つ作品だ。作品の持つ圧倒的な重苦しい雰囲気や、強盗をするしか生きていけない男達の憤り感などは素晴らしいものがある。普通、派手な銃撃戦やカーチェイスを繰り広げるシーンでは興奮するものだ。もちろん本作もそのリアルなアクションに興奮するのだが、どこか悲しげであり、興奮とともに虚しさを感じる。
これは今まで多くのクライム・ドラマがあったがこの感想抱いた作品は無かったと記憶している。

この印象に大きな影響を与えているのがダグとジェム(ジェレミー・レナー)の2人だ。ダグ役のベン・アフレックはクレアとの恋に落ち、強盗の世界から足を洗おうとするが、結局抜けたくても抜けられない憤りを見事に演じ切っていた。

そしてジェレミー・レナー演じるジェムは、短気でいかにもこの世界でしか生きていけないならず者の雰囲気が完璧だった。特に今までアウトローで有りながらも、軍属である役が多かったためある一線を保ってはいたが、今回は強盗役のためその一線が無くなり、完全に悪党オーラ全開だ。街で会ったら目は絶対に合わせたくないような危うさを持っている。キャラクターのインパクトとしては、完全にダグより上だ。

この2人の似て非なるキャラクタがチームを組み、衝突し、そしてその裏では恋に落ちるという複雑に絡まった関係が、全体の雰囲気を重たくしているように感じた。

一方で、全体のストーリーとなると、思いのほか目新しさは無い。ある意味、かなりベタベタな展開だと言っても良く、途中でラストシーンまでの展開を想像できた方も多いのではないだろうか。舞台がチャールズ・タウン一か所だし、ロクに街から出た事も無いような連中なので、やれる事の幅が限定されているので仕方ないかもしれない。その代わりにその跳ね返りとして、より閉塞感が出せていたし、細かい演出を徹底的にやることで、リアリティがかなり良く出ていた。特に冒頭の強盗に入るシーンでは、ケータイを水没させる、HDDを電子レンジで破壊する、漂白剤を撒きDNAを壊すなど、実際に刑務所に手口をインタビューしに行った位の様なので、感心してしまう。

さて予告編のキャッチコピーにある様に、「数十年に一本の傑作」と言われると、それには疑問が残る。確かに持ってる雰囲気は抜群で、これはそうそうあるもんじゃないという事には異論はない。しかし、ストーリーにこの作品固有で何か新しさや突出したところがあるかというと、それは無いし、加えてストーリー展開で無理を感じる部分もある。例えばダグの最後の仕事なんかがそうだ。仕事をどうしてもやりたくないとあれだけ騒いだ挙句、最後に花屋を殺すなら、最初っから覚悟を決めて殺せば良い。作戦参謀で綿密な計画を立てるダグの行動としてはいささか不可解だ。それと、どこかダグに強盗としての甘さを感じるのである。だから傑作と言われると異論を唱えたくなる。

それとやはりこの作品を完全に味わうためには、ボストンのチャールズタウンというところがどういう所かというのを、普段からしみじみ感じておく事も大事なのかと思う。そこの理解がある米人だと、一般解に思えるストーリーも違った様に映るのかもしれない。ただ普通の日本人にはそうは感じないだろう。

とはいえ、面白くないわけではなく、寧ろ面白い部類に入るが、過度の期待は禁物だと感じた。

評価:★★★★★★☆☆☆☆

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