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映画レビュー 「キッズ・オールライト」

キッズ・オールライト  原題:The Kids Are All Right

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【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】

現代のレズビアン・カップルの家族を描いたファミリー・ヒューマンドラマ。1人の精子ドナーからそれぞれ子供を生んだレズカップルと、その子供たち、そして精子ドナーが織りなす人間関係をストレートに描いた作品。監督は「しあわせの法則」のリサ・チョロデンコ。彼女もレズビアンであり、本作と同じく精子ドナーにより出産を経験している。

レズビアンのニック(アネット・ベニング)とジュールス(ジュリアン・ムーア)は結婚しているカップル。彼女たちはそれぞれ精子ドナーにより出産しており、18歳の娘のジョニ(ミア・ワシコウスカ)と15歳の息子レイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)と暮らしていた。ある日、弟のレイザーは精子を提供した父親がどうしても知りたくなり、姉の協力も得てドナーでありポール(マーク・ラファロ)と勝手に会ってしまう。打ち解けていくポールと子供たちをよそに、これ以上干渉しないようとさせるニックとジュールスだが、事態はあらぬ方向に・・・。

レズビアンの家族ということで、どういう作品なのかと不安半分で鑑賞したが、それほど心配する必要も無かった、というかかえってすんなり観れたくらい自然な作品に仕上がっていた。

最近では、本作の様なレズカップルの家庭も増えてきている様だ。主演の2人の目線などは実際に則してしるかの様に自然なのも、監督自身が同じ境遇であるのも一理あるだろう。

まずキャラクタ設定が日本では到底考えられない。レズの2人が結婚を認められていて、ニックが医師として一家を支えている。それぞれが出産をし、その子供たちも親がレズという事に何のコンプレックスも抱かないまま、しっかり育っている。これぞアメリカという感じだ。最初違和感があるが、何故かすんなり慣れてしまった。

ストーリーはポールが家族に接することによって、今までに無かった刺激が家族にもたらされる。それは考え方であり、振舞いであり・・・。それらを通じて、家族の絆を改めて認識する物語である。

特にポールとジュールスは体の関係を持ってしまう。これを不倫と言うべきかなんなのか・・・。やはりいくらドナーと言えど、ニックが力説していた様に、「生物学上のに父親」であることに違いはなく、本当の父親ではない。「18年間子供を育ててから親の顔をしろ」とはごもっとも。だからやはり不倫というのが正しいのだろう。いずれにせよ、家族が傷ついたのは間違いない。そしてその後ジュールスが謝り、絆を取り戻していく様も至って普通。しかしこの普通な事件だが、この設定の下だと、俳優陣の一挙手一投足に奥深さが出て不思議な感じだ。

登場人物に話を移そう。父親役のアネット・ベニングはその短髪からも、如何にもレズのタチ役な感じが良く出ていて、実際、医師という設定もあり若干上から目線な話っぷりもドンピシャな感じだった。職場で怒られたら泣きたくなるような強いタイプだ。母親役のジュリアン・ムーアは、レズでありながらもどこか中性的な雰囲気を残した難しいキャラだ、と同時にアネットとは対照的にとぼけた発言もしてしまう、本作では重要なキャラ。脚本も当初からジュリアン・ムーアが演じる事が想定されているため、これまたドンピシャだ。

子供たち、特にミア・ワシコウスカは、アリスとは違った素朴な18歳を演じている。相変わらず綺麗なので好きな方は要チェックだ。

そして何よりマーク・ラファロは男のワタクシが見ても惚れ惚れしてしまうほど、カッコ良かった。伸びきった髪や無精ひげが見方によっては汚いのだが(笑)下手に格好つけず、素のままで生きている感じは、とにかく無条件でカッコイイ。できるならあんな生き方をしてみたいものだ。

さて、本作は意外と上映館数も限られているが、恐らく題材がレズカップルだったりするからなのではないだろうか。日本ではまだ偏見があるかもしれないが、本作はそういう気持ちは一切抜きで先ず観て欲しい。そこには絶対理解できないような特別なものなど無く、意外とすんなり入れてしまうはずだ。そして今までとは違ったアプローチの家族の絆を観ることができるだろう。

評価:★★★★★★★☆☆☆

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映画レビュー 「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」

スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団  原題:Scott Pilgrim vs. The World

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【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】

エドガー・ライトがブライアン・リー・オマリーのコミックスを映画化した作品。原作は日本のサブカル要素満載で、それらをはまるごと映画版にも継承されている。サブカルの部分だけが取り沙汰されがちだが、作品の芯はアクション・ラブコメだ。

アマチュアバンドのベーシストであるスコット・ピルグリム(マイケル・セラ)は、高校生の彼女であるナイブス(エレン・ウォン)と付き合いながらも、ラモーナ(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)に一目惚れしてしまう。謎が多いラモーナだが、彼女とと付き合うためには、7人の元彼を倒さなければならない状況に陥ってしまったスコット。次々と襲い掛かってくる元彼に果敢に向かっていくスコットだが・・・。

本作は、日本のゲームの名前や要素、そしてエフェクト、SEに至るまで様々な要素がフィーチャーされてる。そしてゲームと言っても「ファミコン」時代のものなので、非常に懐かしく感じた方も多いはずだ。特に敵を倒すとコインが出てきたり、エフェクトのドットが荒かったり、SEもPSG音源(いわゆるピコピコ音)が再現され8bit時代を髣髴とさせるものがある。これだけでも当時の熱狂的なファミコンファンには隨縁ものだ。

と、こういう部分だけ取り沙汰されがちな本作だが、中身は意外としっかりしたアクション・ラブコメだ。ストーリーは至って単純でほぼ前述したとおりだが、スコットが一目惚れしたラモーナには7人の元彼が存在し、彼女と付き合うにはその元締めともいえるギデオン(ジェイソン・シュワルツマン)が結成した元彼軍団を何故か倒さなければならなくなったというもの。本作の惜しいのは、このストーリーの部分が単純すぎることだ。もう少し元彼の人数を減らすか、テンポよくするためにチーム戦にするなどしないと、先が長く思え、飽きてきてしまうことだ。様々な背景の説明シーンが入ってるとはいえ、3人目位までの展開はかなり長い。あと2倍以上かかるかと思うと、ちょっとうんざりしてしまう。それ以外の部分では、思わず吹いてしまうジョークや、ボケなど多彩でかなり楽しめる。

先ほどエフェクトについて書いたが、なかなか面白かったのがテロップというか、コミックスで効果音を表現するために吹き出しを用いるが、それが随所で使われていたことだ。これのおかげでコミックスの1ページを読んでいる様な感覚になる。たったこれだけの事が作風ともマッチし良くできていた。

意外?にしかりしてたのがアクションシーンだ。まさかここまで本格的なアクションがあるとは思ってなかった。スコットはもちろん、ラモーナやナイブスに至るまで、なかなか本格的な殺陣とファイティングをこなしている。先ほどのテロップとは対照的にこちらはまさに映画を観る感覚なので、緩急がとてもついて視覚的に楽しめた。

俳優陣は誰もが甲乙付けがたく、それぞれの役で非常に良い持ち味を発揮していた。個人的にはナイヴス役のエレン・ウォンが映画初登場の様だが、いろいろな表情で楽しませてくれた。今後が楽しみである。それともちろんメアリー・エリザベス・ウィンステッドも忘れてはいけない。

評価:★★★★★★☆☆☆☆

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映画レビュー 「まほろ駅前多田便利軒」

まほろ駅前多田便利軒

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【公式サイト】  【allcinema】

第135回直木賞を受賞した三浦しをんの短編集を実写化。主演は瑛太と松田龍平。同級生だった2人が再会し、それぞれが苦い過去を持ちながらも、それなりに強く生きていく様を描いたヒューマンドラマ。監督は「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」の大森立嗣。

東京のはずれにある「まほろ市」で便利屋を営む多田(瑛太)。ある日バス停で同級生だった行天(松田龍平)と再会する。これがきっかけで共同生活を始めた2人。彼らは様々な便利屋にしかできない依頼を引き受ける。そして、それらを通じて彼らが悟ったものとは・・・。

まさに邦画という言葉がぴったり当てはまるくらい、日本的な作品だと感じた。
多田、行天とも過去に色々と抱えており、2人ともバツイチ。便利屋を営んではいるものの、何となく生きる目的をなくしている様な多田、そしてその時なりにひょうひょうといきる行天といったところか。同級生とはいえ、行天は生徒時代は全く無口であったため交友なんて大してなかったはずの2人が、男同士特有の不思議な友情感から共同生活を始め、自分の過去と向き合っていく。

ストーリーはほぼ前述の通りだ。もちろん色々引き受けた仕事に対して、それぞれエピソードがあるがそれは割愛したい。また、撮影の舞台は町田市になっている。イメージ的にもまほろ市とぴったり合う感じだ。

本作の一番の魅力は何と言っても『間』だ。とにかく無言の時間が長い。ただ、うまく文章で表現できないかもしれないが、男同士で口に出さずとも察する、その場の空気でなんだか納得する、みたいな事を味わったことがないだろうか(女性の方スミマセン)本作はまさにそれなのだ。そしてそれに若干のスパイスを加えているのがタバコ。火を付けたり、深く吸ってみたり、これは喫煙者じゃないと分からないだろうが、そういう事をしたくなるタイミングというか、気分があるのだ。こうやって書くと、ほんと限られた人しか理解できない気がしてきたが、分かる人にはホントにシミジミくる間が本作にはあり、最大の魅力となっている。

主演の2人はそれぞれが良い持ち味を出していた。瑛太は静かにまじめに生きているがどこか暗い過去を持つ、普通の男の味が良く出ていた。普通の男ほど演じるのは難しいものだ。松田龍平は人を小馬鹿にした様な口っぷりだが、言うことは的を得ていて、それでいてアンニュイなキャラがばっちりハマっていた。この2人のかみ合いっぷりは共演を重ねた賜物だろう。

主演の2人に影響されてか、女性客の方が多かったような気がするが、本作は30代以上の男性にこそ観て欲しい作品だと思う。この親友だから成し得る『間』を是非感じてほしい。

評価:★★★★★★★☆☆☆

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映画レビュー 「GANTZ : PERFECT ANSWER」

GANTZ : PERFECT ANSWER

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【公式サイト】  【allcinema】

前作の「GANTZ」の続編。本作は原作とは違った展開が繰り広げられる。主要キャスティングは基本的に前作と同じだ。

千手観音との戦いで死んだかのように思われた加藤(松山ケンイチ)。しかし、現場にはその加藤の姿が・・・。また小さいGANTZ玉を持つ鮎川(伊藤歩)という女。彼女はGANTZから指示された通り、カギとなる人間を殺し始める。一体何が起こるのか・・・。

どう評価するべきか悩む作品。映画だけ観てる人にとっては、ストーリなんかは伏線が良く張られていて、練り込まれた感じがあり、これはこれで面白い。一方で原作、というか原作の雰囲気を期待してる人にとってはちょっと表紙抜けな感じなのではないだろうか。

前半戦の黒服星人グループと戦う地下鉄のシークェンスまではどちらの見方でも満足いくだろう。特にこの地下鉄での殺陣はスピード感があり、思わず身を乗り出して観てしまった。ここまでは殺るか殺られるかの緊張感のある展開で十分満足いくものだ。

さてここからが問題。ストーリーボード上は、多分どちらの見方でもイイ線行っていると思う。しかし演出というか見せ方は、とにかくシンミリ系というか感動系に走ってしまっている。後半は、小さいGANTZ玉で集められた卒業生の謎や、千手観音の現場に現れた加藤の正体、そしてGANTZの異変等色んな謎が次々に明らかになり、来るべき最後の戦いに向け期待が大きくなるところだ。それがとにかく小島多恵(吉高由里子)と玄野(二宮和也)の関係を始めとした、「生きる」ことをベースに話が展開される。

加藤に扮する黒服星人と死闘を繰り広げ、感動シークェンスもある。ちょっとGANTZにしては戦闘規模があまりにもこじんまりしている感はあるし、展開が若干遅い感じもするが、とりあえず映画シリーズだけ知ってる人にはこれでも良いだろう。十分及第点は付けられると考える。

ただ、GANTZと言ったらもっと殺伐として、緊張感のある展開を望んでいいはずだ。前作は色々物足りない意見もあったが、初見の人も多いのでそれはそれで良いと思っていて、本作に期待していた。が、その期待は見事に打ち砕かれたわけだ・・・。GANTZと言うからには、やはり戦闘シーンが一番に来るわけで、それも得体の知れないとんでもないものが相手だから面白い。それを差し置いて、加藤の分身とこじんまりと戦い、それだけでなく、感動シークェンスが前面に来なければならないのかという事だ。別にずっとグロだのなんだのでやれと言ってるのではない。売りの部分が際立ってない事が不満だ。

それとしっくりこなかったのはタイトルだ。GANTZから見た玄野の行動(答え)がPERFECT ANSWERなのだろうが、てっきりこのサブタイトルの主語というか目線は玄野や加藤達の戦ってる連中だと思っていた。それだけにラストで理解はしたものの、「そういうこと!?」という感が拭えなかった。

ワタクシは取り立てて原作を完全に再現しなければいけないという事など言うつもりもないが、やはりどうして敢えて外した展開にしたのかが不満だ。

そんな中で、楽しんで見れたのは緑友利恵だ。GANTZを卒業した女子高生の山本真子役を演じている。彼女がGANTZスーツを着て、豪快なアクションをするとなればチェックせずにはいられない。

評価:★★★☆☆☆☆☆☆☆

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映画レビュー 「抱きたいカンケイ」

抱きたいカンケイ  原題:No Strings Attached

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【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】

セックスフレンドから発展し、恋に落ちる2人を描くちょっと異色のラブコメ。主演はナタリー・ポートマン、アシュトン・カッチャー。ナタリー・ポートマンはこういうキャラはやらなさそうだが、脚本を読み自分からやりたいと申し出たという。監督はゴーストバスターズのアイヴァン・ライトマン。

14歳の頃から知り合いだったエマ(ナタリー・ポートマン)とアダム(アシュトン・カッチャー)。その二人が奇遇にもLAで再会し、ひょんな事から関係を持ってしまう。医師の道に進んだエマは週80時間という激務の中にいるエマは、体だけのセックス・フレンドをアダムに持ちかける。こうして2人の体だけの関係が始まったのだが・・・。

ストーリー的には、観る前に大体予想している通りだ。それ以上でもそれ以下でもない。みなさん容易に想像できると思うので、ネタバレも何も無いだろう。ラストは2人ともハッピーになると相場が決まってる。そうなると、この手のラブコメは、如何に笑わせるか、如何にホロリとさせてくれるか、そして登場人物にどれだけ感情移入できるかがポイントとなってくる。

そういう視点でこの作品を考えると、笑いの点ではなかなかだった。主に笑いのパートは脇役たちが担当するという構図になっていて、このための脇役たちと言っても過言ではない。特にアダムの友人のウォレス(ルダクリス)のマジ顔のボケは個人的にツボだった。

そして登場人物はもう何も申し分ない。ワタクシの知る限りこんなにも楽しく笑い、ある意味凄く人間的なナタリー・ポートマンを見たのは初めてかもしれない。セックス・フレンドを提案するという、いわゆる「whore」役をやるので、いやらしさみたいのが全面に出てくるかと思いきや、医師という激務のストレス解消と、恋愛に関わらないようにする性格の設定と、彼女の笑顔で意外とあっさり観れる。もう少しネチネチしたものかと思っていたが、意外なくらい爽やかだった。ラブコメの代表的な女優は皆歳を取ってしまった一方で、若い女優があまり出てきていないのも事実。ナタリーは本作で、ラブコメはガンガン行けることを証明したはず。今後、もっとコメディにも出演して欲しいと思う。

アシュトン・カッチャーは、ワタクシの中では未だに「バタフライ・エフェクト」の人だったのだが、本作ではそれ以来の好演だった感じがする。丁度、役のキャラもADで、一途に恋し、親の七光りから脱しようとする普通の男子だ。今のアシュトンには、下手なスパイ役でアクションなんかするよりも、こういう自然体で演じられる役の方が合ってると思う。

本作で一番惜しかったのは、ホロリとさせるところだ。これは俳優の演技云々ではなく、そういう脚本だからだ。エマが失恋した部分が涙を誘う場面ではあったが、あくまでニコヤカに見せる脚本であり演出だったので、涙する場面はなかった。これがあれば緩急が付き笑いもより笑えるようになったのだが、残念だった。

最後に邦題。色々言いたいことはあるのだが、「恋」という文字を安易に使わなかったのは評価したい。

評価:★★★★★★★☆☆☆

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映画レビュー 「キラー・インサイド・ミー」

キラー・インサイド・ミー  原題:The Killer Inside Me

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【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】

ジム・トンプスンの「おれの中の殺し屋」をウィンター・ボトム監督が映像化したクライム・ドラマ。保安官助手の内に眠るもう一人の人格とも言うべき衝動に目覚め、次々と殺人を繰り返していく様を描く。主演はケイシー・アフレック。共演はケイト・ハドソン、ジェシカ・アルバ。

西テキサスの田舎で、保安官助手のルー(ケイシー・アフレック)は、同僚からは子供の頃から非の打ちどころがないと言われるくらいの好青年であった。しかしある売春宿の調査で、そこにいたジョイス(ジェシカ・アルバ)
との小競り合いの中で、ルーは自分の中にあった抑えきれない怒りを爆発させ、ジョイスをベルトで打ち付ける。がふと我に返ったルーは、平謝りし、彼女と交わりあう。解き放たれた彼の本性は留まるところを知らず・・・。

正直、この作品は理解が難しい。言わんとするテーマは分るのだが、公式サイトにもある最大のポイントの「何故愛し、何故殺したのか」という点がなんとなく分かるもののスッキリしない。したがって残念ながら、やたら絡みのシーンを見せられ、サイコ野郎がその女性を撲殺し、場違いとも取れるBGMを聞かされたという感じだ。だが、観終わってからじっくり考えると、そのルーの持つクレイジーな部分が、不快ながらも何とも言えない魅力となっている事に気付かされる。

まず「何故愛したのか」というところだ。時系列通りに全て事が運んでいるならば、一応は理解はできる。ジョイスに殴られたルーは、子供の頃のトラウマ?が目覚め、「殴る」という事の快感を思い出してしまった。そしてそれを奇しくも受け入れたジョイス。だからルーはジョイスを愛した。

ただ疑問なのは、ルーはジョイスを殴り付けた後、エイミー(ケイト・ハドソン)の尻もシバイていた。ルーはエイミーと先に付き合っていたはずで、ここで抵抗しないエイミーは普段からこのスパンキングプレイをやっていたのでは?と考えてしまった。とすると、わざわざジョイスを愛する理由がない。そしてルーが子供の頃に覚えたこのプレイの相手が、どこかエイミーに似ていた(ように見えた)。だから年上の幼馴染でずっと付き合ってきたのかもしれない。実際はジョイスを愛したのは殴る快感に目覚めたからというのが妥当かもしれない。

また「何故殺したのか」という点については、多少わかりやすい。ジョイスの場合は、その存在がエイミーにバレそうになったのと、義兄が殺された恨みをチェスターの息子を殺すことで復讐し、尚且つ金も奪うという一石三鳥を狙ったのではないかと考えられる。エイミーについては、自分のアリバイに利用した(会ってたことになってるが時間が合ってない)のがバレるとまずいのと、邪魔なたかりに来た男を殺すの一石二鳥だったからであろう。結局口では何を言おうが、自分にとって面倒な存在になったらとりあえず殺しちまおう、という一貫性がある。

結局、自分にとって邪魔だったり気に食わないな存在を片っ端から殺し、その殺し方は、ジョイスもエイミーも撲殺である。特にジョイスにおいては、顔の形が変わるまで殴り倒している。まさにサイコたる所以かもしれないが、これはある意味ルーの中ではプレイの一種になっているのかもしれない。殴る(撲殺)快感とセックスの快感の境目がなくなっているのではないだろうか。

人にもよると思うが、観終わった後で良く考え、状況を整理して全貌が見えてくる感じだ。サイコ野郎の言動をそのまま見せられても、即理解できるはずがなく分りづらい。客観的な状況フォローがあって欲しいのだが、実際に見ているときは、ルーの心の声の台詞があっても、詳細な説明はシークェンスは特別無いので、自分で時間をかけて整理する必要がある。

また展開も若干スローな割に難しく、またルーのクレイジーな行動と全くマッチしないBGMと相まって、何か変なものを見せられてる気分になる。

ルーのサイコな言動はそれがある意味、本作の魅力にもなるので致し方ないかもしれないが、そのバックグランド等含め、もう少し分りやすくした方が、もっと作品の良さを理解してもらえるように感じられただけに残念だった。ただ、冒頭にも書いた様に、思い返せば思い返すほど、面白みの出る作品だ。

P.S.KLYさんには色々ご指摘頂き、その中で自分も気づきがあったので加筆しました。この場を借りてお礼を申し上げます。また、一日いろいろと考えた結果、評価を上げることにしました。

評価:★★★★★★★☆☆☆

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映画レビュー 「エンジェルウォーズ」

エンジェルウォーズ  原題:Sucker Punch

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邦題に様々な波紋を呼んだ、ザック・スナイダー監督のファンタジー・アクション。5人の美女がザック・スナイダーらしいアクションシーンで活躍する。主演はエミリー・ブラウニング。殆どの上映が吹き替え版となり、字幕版は10館程度しか上映されない。

遺産相続が出来なかった継父に陥れられ、精神病院送りになってしまったベイビードール(エミリー・ブラウニング)そこで待ち受けていたのは人間性を奪うロボトミー手術。彼女は同じ施設にいたスイートピー(アビー・コーニッシュ)、ロケット(ジェナ・マローン)、アンバー(ジェイミー・チャン)、ブロンディ(ヴァネッサ・ハジェンズ)の4人と共に脱出計画を企て試みるが・・・。

本作は完全に映像を楽しむための作品だ。ザック・スナイダーらしいというか、「300」のノリで沢山人が出てきてウワーって戦って・・・という、とにかく画面が大混雑(笑)しかし、その中でスピード感溢れるアクションとスローモーションを組み合わせた映像はさすがだ。ゲーム的な映像ではあるが、大規模感を表現させたらこの監督はトップレベルなのではないだろうか。

予告編でも出てきている様に、脱出への鍵は4つある。それごとにそれぞれ違ったミッションが用意されていて、都合4回派手なアクションシーンがあるわけだが、どれもが同じテイストながらも、4つのミッションに分割されているため、一つのミッションが短時間でスタートとゴールがはっきりして緊張感があり、思わず見入ってしまう。

さてストーリーだが、これは有る様で無いに等しい。最初ストーリーというか設定が分りづらく、トリップの中でさらにトリップしてることに気付くまでは何が何だか分らないだろう。そしてラストシーンで教訓じみた台詞があるが、あまりピンとこない。多分そういうのを入れないと締まらないからだと思うが、ちょっと違和感があった。

本作の最大の魅力は、やはり5人の女優だ。売春宿設定とアクション設定の時のギャップがたまらない(笑)さすが売春宿だけあって、普段からも衣装がセクシーだ。腰がぎゅっとくびれながらもムッチリ(笑)の太ももを露わにしながら、アクション設定ではその衣装がベースとなった戦闘服になり、マシンガンをぶっ放すのだ。これは萌えない訳にはいかないだろう。

SHOWBIZで特集を見たが、5人の女優はリアルにアクションの特訓をしたらしい。その中には実弾による射撃訓練も含まれていた。その成果かマシンガンを撃つのも様になっている。殴る蹴るのシーンでも、女の子だからといって妥協は無いように見えた。もちろん手放しに全てが良かったわけではなく、前半の落武者と闘うシーンでは、殴られてぶっ飛んでるのにダメージが全く無いように見えてしまうところも有ったのも事実だ。しかしそれ以上に全体を通せばかなりレベルは高かったと感じたし、評価できると思う。

他に不満だったのは、ベイビードールの踊りがこの作品のポイントになっているのだが、実際にどういう踊りを踊ってるのかが全く出て来ない。エミリー・ブラウニングがダンスが苦手なのか知らないが、ダンスシーンゼロっていうのは不自然な気がしてならなかった。

話題になった邦題だが、観る前は他に何かないのか!と思ったが、作品を観た後は止む無しの部分もあるかと少し思うようになってきた。原題の「Sucker Punch」は不意打ち的な意味。これは色んなキャラクタに当てはまり、ナイスなタイトルなのだが、これにピッタリくる日本語というともしかしたら無いかもしれない。だったら次のメインになる5人の戦いにフォーカスするってのは分らなくもない、と20%位思っている。

また吹き替え版がメインになっているが、何で殆どをわざわざ吹き替えにする必要があったのだろうか。台詞は本当に少なく、また英語も比較的易しい。字幕版で十分だ。

総じて、キャラクタが魅力的でアクションも派手で、ファンタジー・アクションとしてはなかなかのデキだ。欲を言えばもう少しストーリー、特に最後のメッセージの部分と、5人の女優のアクション以外の魅せ場がもう少しあれば、名作になったかもしれず非常に惜しいと感じた。

評価は劇場で大音量で観た時の評価だ。迫力が魅力の一つになっているので。

P.S.個人的に5人の中で一番好きなのはロケットです。

評価:★★★★★★★★☆☆

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映画レビュー 「塔の上のラプンツェル」

塔の上のラプンツェル  原題:Tangled

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ディズニー長編アニメの50作目となる節目的作品。グリム童話の髪長姫のラプンツェルを映像化。18年間一歩も塔から出た事が無い少女、ラプンツェルが、自分の誕生日の日に上がる灯りを自身の目で見るために、泥棒のフリンと旅をする。ラプンツェルの声は、字幕版がマンディ・ムーア。日本語吹き替え版は中川翔子が担当する。

ブロンドの美しくも非常に長い髪をもつラプンツェルは、母の教えである「外は危険」という言葉を信じ、18年間一歩も塔の外から出ない生活をしていた。しかし毎年自分の誕生日になると空に現れる、星とは違った無数の灯り。彼女はその正体をどうしても突き止めたく、たまたま塔に逃げ込んできた泥棒のフリンと一緒に、母の教えを破り冒険に出かける。

ストーリーはディズニーものらしく直球そのもの。だからといってつまらないというわけではなく、ストーリーやキャラクタなど、使えるものを目一杯使って巧みな緩急を付けて、観客を楽しませてくれるのがディズニークォリティ。本作も多分に漏れず、素晴らしい作品に仕上がってました。

予告編を観た時の感想と、邦題のイメージから、塔からどうやって抜け出してその髪の謎を解いていく的なストーリーなんだろうと勝手に想像していたが、序盤でいきなり髪の秘密は全て暴かれてしまう。この時点で完全にやられてしまい、あとはもうのめり込むだけだ(笑)

本作で特徴的だったのは、結構真面目にアドベンチャーするところだ。危うく激流にのまれ溺死しそうになったり、ラストではフリンは死にかけたり。意外と言ったら失敬だが、こういうところもハラハラ感を掻き立たせられ、観客を惹きつける大きな魅力になっている。

また、個性的なキャラクタが多数登場する。特にディズニーのお家芸とも言える動物の擬人化は、思わず感情移入してしまうところだ。馬のマキスマスやカメレオンのパスカル。マキシマスは言わずもがなだが、パスカルのぬっとりした表情に思わずニヤリとししてしまう。このパスカル、ラストで何気にやってくれたりするのだが・・・。ちょっとディズニーにしては意外な展開で驚いた。

そして何といってもラプンツェルだろう。今までのディズニーの女の子のキャラクタは全く魅力的に映らなかったが、ラプンツェルはどこか日本のアニメの要素を持ち合わせていて、しっくりくる。これに、強気だったり、落ち込んだり、喜んだり、ハッキリした喜怒哀楽が加わるので、魅力的でないはずが無いだろう。

これらのキャラクタが上手くストリーと絡み合いながら、一気にハッピーエンドまで持っていく。ラプンツェルは、大人向けで清々しく笑える作品だ。トイ・ストーリー3も素晴らしかったがベクトルが若干違うので比較はできないだろう。

夢を忘れてしまい、とかく擦れてしまった日常を送る大人に是非観て貰いたい作品だ。わざわざ時間を取ってでも観る価値は有る。

評価:★★★★★★★★☆☆

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映画レビュー 「ザ・ライト -エクソシストの真実-」

ザ・ライト -エクソシストの真実-  原題:The Rite

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ライト(Rite)とは儀式の事。その悪払いの儀式を執り行うエクソシストが如何に出来上がっていくかを、実在のエクソシストや実際に行われているというバチカンでの講義にインスパイアされながら描いた作品。主演は『羊たちの沈黙』のアンソニー・ホプキンス、新鋭のコリン・オドナヒュー。監督はミカエル・ハフストローム。

神学校で卒業を控えていたマイク(コリン・オドナヒュー)は、自身の信仰を見失ってしまい、司祭を辞退しようとしていた。が、講師の強い薦めで、バチカンで行われているエクソシスト養成講座を受講する。信仰の道に進みながらも科学的視点を失わないマイクは、どうしても悪魔の存在を信じることができない。そんな時、彼はルーカス神父(アンソニー・ホプキンス)と出会う。そこで彼が体験したものとは・・・。

この作品が新しいところは、エクソシストになっていく様が描かれていることと、マイクが悪魔はおろか自身の信仰心すら揺らいでいるということだろう。その結果、悪魔が取りついているということに対して、客観的に科学的な見方をするところから入るところだ。最終的には悪魔や神の存在を信じ、りっぱなエクソシストになりはするのだが、ワタクシの様に信仰が無かったり、科学でありきな考え方を持ってる人にとっては、段階を踏んでいるので感情移入しやすかった。

逆説的に、最初から悪魔はありきでいかに闘うかだけにフォーカスしてた人や、信仰のある人にとっては、前半部が冗長と感じるかもしれない。

さて、本作は見どころは何と言っても、アンソニー・ホプキンス以外の何物でもないだろう。エクソシストから始まり、悪魔に取りつかれ、善と悪を双方とも演じ切った彼の底力を見せつけられた感じだ。作品自体が非常にリアリティが高く、緑のゲロを吐いたり首が180度回ったりする様な演出が一切ない。その分、作品の出来が役者の演技力に依存している。そういう意味で、アンソニー・ホプキンスは一人二役を演じ切り、作品を成功に導いたと言っても過言ではない。

バチカンでの講習のシークェンスで、悪魔にも階級があるという話があった。そこで、ルーカスに取りついた「バール」という悪魔を調べてみたら、納得してしまう事実が分かった。Wikipediaによれば、この悪魔は体が蜘蛛で、人間、蛙、猫の頭部を持った悪魔らしい。そう、猫も蛙もルーカスの自宅にいるものだ。そしてマイクの寄宿舎にも大量発生した蛙。そういう事かと妙に納得してしまった。バールの事は一切知らなかったので、何で蛙があんなに出てくるのか全くの謎だったが、こういう関連がどうもあったらしい。

悪魔祓いの作品だと、どうしても初代エクソシストの印象はどうしても強い。そして実話がベースのものだと最近ではエミリー・ローズが記憶に新しい。エミリー・ローズも悪魔に取りつかれたのか、病気なのかが論点であったが、謎解き的要素が強かった。本作はこれらの作品と比べると、取りつかれたおぞましさ的な部分では劣るものの、エクソシストになるという切り口は新しい。

評価:★★★★★★☆☆☆☆

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映画レビュー 「SOMEWHERE」

SOMEWHERE  原題:SOMEWHERE

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【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】

ソフィア・コッポラ監督のヒューマン・ドラマ。台詞が極端に少ない構成が特徴的。主演は「パブリック・エネミーズ」のスティーヴン・ドーフと、ダコタ・ファニングの妹であるエル・ファニング。

映画俳優であるジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)は、LAの高級ホテルであるシャトー・マーモントを自宅代わりにし、自由奔放ながらもどこか満たされない生活を送っていた。そしてたまに前妻との子であるクレオ(エル・ファニング)と過ごす生活を送っていたが、ある日突然前妻からの連絡でしばらくの間クレオの面倒を見ることに・・・。

前述の通り、この作品は極端に台詞が少なく、前半部分はマルコの生活の様子が淡々と描かれる。冒頭からフェラーリ 360モデナの周回を見せられ、(個人的には別に嫌いじゃなかったのだが)一見意味の無い様に思える前半部分を、どれだけソファ・コッポラを盲目的に信じ、見続けることができるかがある意味キーではある。
ここで、完全に意味不明だと思ってしまうと、120%気絶(居眠り)してしまうだろう。

ストーリーは至ってシンプルで、離婚し自由ながらもどこか満たされない生活を送っていたマルコが、クレオと過ごした何気ないオフで、マルコは自分の中の何かに目覚め、変わっていく、という至ってシンプルなもの。それをある日常の一部を切り取ったシーンで表現する事により、気持ちの変化を描写している。下手な小芝居や、取ってつけた様なイベントがない(前妻が突然失踪するというのはあるが)ため、ドキュメンタリータッチとも取れる。

この表現の仕方が若干退屈な部分があるものの新鮮であり、特徴的だ。

さて、本作の魅力はそれだけではなく、もう一つの大きな魅力はエル・ファニングであろう。キック・アスのクロエ・モレッツもそうだったが、欧米人の11歳~13歳位は、日本人にとって男女問わずスイートスポットなんだろうか。エル・ファニングもこの作品を撮ったのは11歳の時である。クロエ並みに人気が高まる様な気もする。

ルックスだけでなく、例えば朝起きたら知らない女性が部屋に居た時の怪訝そうな表情や、クルマの中で母親はいつ帰ってくるんだろうと突然泣き出すシーンなど、とても表情豊かで思わず観てる方が親の気分になってしまうくらい引き込まれてしまった。子役ながらも恐ろしい位の力の持ち主だ。

マルコ役のスティーヴン・ドーフは、それほどメジャーではないところが本作ではジャストマッチだった。もっと有名俳優だと、本当にそんなにパーティだのに出て飲んだくれてんのかと思ってしまうが、役的にも一応ハリウッドの1.5流位のスターで、金を好きに使って楽しんでるという設定が、そのリアルにあまりメジャーじゃ無い所が助かって、凄くリアリティのある様に撮れていたと感じた。

最後まで通して観ると、最近の映画には無い不思議な余韻が残る。メッセージ性はそれほど高くないのだが、構成の新しさや、俳優陣の魅力がそうさせるのであろう。

必見とまではいかないものの、なかなか面白い作品だ。

評価:★★★★★★★☆☆☆

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