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映画レビュー 「キャタピラー」

キャタピラー

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http://www.wakamatsukoji.org/index.html
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=336110

まず、本作の原作は江戸川乱歩の「芋虫」の様だが、それとは内容も幾分か違うし、ワタクシの感想がそれによって左右される訳でもない事を断っておこう。

公式Webサイトの言葉を借りれば、「1組の夫婦を通して戦争の愚かさと悲しみを描く、若松考二の新境地と言える作品が完成した」とある。つまりは反戦映画である。

日中戦争に出兵した久蔵(大西信満)は、両手足を奪われ、かつ鼓膜と声帯もやられた状態で帰還する。それもただ帰還しただけでなく、勲章を3つも貰った軍神として。
その事実を一度は受け入れられなかったシゲ子(寺島しのぶ)だが、軍神の妻として生活を進めていく。

当然と言っては何なのだが、メインのストーリーはこの夫婦の生活が主体で進んでいく。その生活と言うのは、人間の3大欲求そのもの表現だ。現実から逃げたくも、軍神の妻として、御国へのご奉公としてその責務から容易には逃げられなくも、いつしか夫を皆に晒すことでストレスを発散し、いつのまにか己の性の主導権も握ってしまうシゲ子の生活と、自分では全く何もできず、食欲、睡眠欲、そして性欲を満足させるだけだったが、シゲ子に主導権を奪われると、戦場で強姦してた記憶のフラッシュバックに気が振れ出す久蔵の生活だ。

確かに、今回久蔵に起きた悲劇は、結果として戦争がもたらしたものかもしれない。しかし彼女たちの生活の中から、「戦争でしかもたらせられない特別な何か」がそれほど伝わってこなかった。停電したり、食糧が十分ではないというシーンでは全くもって悲惨さは伝わってこない。むしろ、久蔵が強姦のフラッシュバックのシーンから、反面教師的な教訓を言いたいのかとも一瞬思った。

夫婦愛を描きたいなら分かる。夫婦なり家族が手の施しようが無い状況に陥ると、皆それぞれ少しずつおかしくなっていくものだ。この苦労は大変なものだ。もしくは性の主導権を握っていく部分であれば、それは原作そのものだ。

ではどこで戦争の悲惨さが描かれているかというと、時代背景を説明する際に、当時の映像やラジオ放送が使われたりしている。こちらの方がとてもリアルだし、しみじみする。これだけではドキュメンタリーになってしまうのだが、本当に戦争の悲惨さを理解するのであれば、これらとちゃんと向かい合うべきだろう。加えて、竹やり訓練消火訓練などは当時の映像と比較すると、あまりにも稚拙で到底反撃できるものではないことがはっきりわかる。こういう部分では、当時の軍部の愚かさがはっきり描かれている。

ワタクシが受けた感想は、夫婦の生活とそれ以外の部分が全くリンクせず、結果として何がテーマだったのか、観終わったら分からなくなってしまった。無理やり、辛い夫婦生活をもたらした原因が戦争だったとしても、カラミのシーンが多すぎだろう。「反戦」というテーマにはならないが、原作通り、戦時中という時代背景での夫婦にフォーカスした方が、作品としては面白かったと思う。原作を読んだのが小学生の時なので、細かい描写まで覚えてないが、多分間違いないと思う。

皮肉にも、寺島しのぶが光ったのはその濡れ場のシーンだ。嫌な表情、何故か満足げな表情、絶望的な表情、彼女のその時々の日常の想いは、その表情から読み取れる。それを後押しするかの様に、惜しげも無く解き放たれた裸体。メイクも無く、本当に体当たりで臨んだその演技からは、奥深いものを感じるだろう。

反戦がなかなか伝わりにくい本作だが、戦争の悲惨さは廃れさせるべきではなく、後世に伝えていくためにも、こういうテーマを持った作品が制作される事には大きな意義があると思う。

評価は本来は、メッセージ性の繋がりが理解できなくて、★2つにしようとも思ったが、寺島しのぶの好演技と、戦時中のフィルムはしみじみしたということに免じて、★3つだ。

評価:★★★☆☆☆☆☆☆☆

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