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映画レビュー 「冷たい熱帯魚」

冷たい熱帯魚

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【公式サイト】  【allcinema】

「埼玉愛犬家殺人事件」を元に創られた園子温監督の問題作。主演は吹越満、共演はでんでん。R-18指定で、それに見合った本気度がうかがえる作品だ。

小さな熱帯魚店を経営する社本(吹越満)と妻の妙子(神楽坂恵)は、娘の美津子(梶原ひかり)が万引きしたと連絡を受け、スーパーへ向かう。そこで警察への通報をされそうになったとき、同じく熱帯魚店を経営する村田幸雄(でんでん)の介入でお咎めなしに。社本よりはるかに大きい店構えを持つ村田は、若い女の子を全寮制の寮付きで雇っており、美津子もそこで面倒を見ても良いと申し出る。再婚相手の妙子と美津子の不仲に悩んでいた社本はその申し出を受ける。完全に村田のペースに乗せられた社本夫婦は、熱帯魚の養殖ビジネスに協力する事になるが、どんどん深みにはまっていく・・・。

今でさえ感想が何とか書けるが、観終わったときは全く持って何も考えられなかった。そのくらいインパクトの強い作品だ。恐らく、誰もが邦画でここまでやれるとは思ってなかっただろうし、観た者はそのやってしまった衝撃に完全に打ちのめされると思う。

R-18は指定だが、その意図はいわゆるエロ・グロの描写が多くかつリアルだからだろう。確かに「ボデーを透明にしちまう」作業は、何でそこまでやる必要があるんだっていうくらいリアルすぎるし、エロの部分はある意味AVよりエロ過ぎだと言ってもいいだろう。

ただこの作品の凄いところはそれだけではない。ストーリーの焦点は社本一家にあるのだが、物語が始まってからというもの、確実に家族が崩壊していき、仕舞には完全に崩壊していく全く救いようのない血生臭い人間ドラマをストーリーを、これっぽっちも妥協することなく、最後まで描き切ったことだろう。だからこそ観終わってから、ただただ圧倒されたり、「凄い」としかコメントが出て来ないのだと思う。

通常というか、ハリウッド映画論外として、どんな映画では多少なりともハッピーエンドが待っているものだ。そうしないとわざわざ金を払って見に来るのに、絶望を見せるだけでは客が来ないと考えるからであろう。ワタクシはそういう時に、最後まで徹底的にやって、どうしようも無いバッドエンディングの作品にした方が良いと良く思っていた。そして実際は難しく誰もやらない事も理解していた。この作品も例に漏れないと思っていた。ところが園子温監督は、そのタブーをそのまま全てやってのけてしまった。その結果は前述の通りである。

劇場が奇妙な空気だったのも興味深かった。よく超真剣な空気が流れる中、思わず笑いが出てしまう経験がないだろうか。真剣と笑いは紙一重だと思うのだが、余りにも演技が迫真に満ちすぎていて、もの凄くシリアスなシーンでも笑いが起きていた。もしかしたら園子温監督は笑わせたかったのかもしれない。台詞やアクション的にも笑わせようと捉えても良いところも確かにあった。ここをピックアップして、ある種のコメディという人もいるだろう。しかしワタクシは全く笑えなかった。鬼気迫る俳優陣の演技が、笑うスキを与えなかった。とにかく妙な雰囲気だったのは確かだ。

俳優陣と言えば、主役は拭越満なのだが、全員が主役と言っても良いくらい素晴らしい持ち味を発揮していた。でんでんは言うまでもないが、特筆すべきは黒沢あすかだ。あまりにクレイジーで鬼畜な演技抜きには、このストーリーの流れは無理だったろう。

この冷たい熱帯魚は、全く救いようが無いストーリーというタブーを完全にやってのけた。この衝撃は永遠に記憶に残るだろう。

評価:★★★★★★★★★

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コメント
そうですね。凄い作品でした。
エログロ、バッドエンディングと何処をどうとっても見たくない作品なのに、目が釘付けになってしまう。私も笑いまではしなかったけれど、ユニークに見せているのは事実。しかし、案外狂気なんてそんなものかもしれません。いや、笑いながら歌いながらボデーを透明にできるのは狂ってる以外の何者でもないですよね。
劇場が奇妙な雰囲気って良くわかります。多分みんなこんな作品に合ったことがないんです。だから反応しようがないんだと。新しい経験をさせてもらいました。
2011/01/30(日) 03:41 | URL | KLY #5spKqTaY[ 編集]
はじめまして。

自分は「笑ってしまった」人間なのですが、笑っている自分が怖くなりました・・・あまりにも猟奇的すぎて「逃避」の意味での笑いだったんじゃないかと思いました。

自分の時も劇場は微妙な空気でした。あの感覚を味わったのは初めてです。

オススメできる内容ではありませんが、絶対劇場で観るべき作品だと思います。
2011/02/13(日) 07:44 | URL | ヒナタカ #-[ 編集]
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