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映画レビュー 「アンチクライスト」

アンチクライスト  原題:Antichrist

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【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ドッグヴィル」のラース・フォン・トリアー監督が放つ衝撃の問題作。日本公開は無理かと思われていたが、奇跡的に公開された。全6章から構成され、それぞれがストーリー展開上、重要な役割を持っている。

夫(ウィリアム・デフォー)と妻(シャルロット・ゲンズブール)は愛し合っている最中に、子供が窓から転落死してしまう。深い悲しみに落ちる妻。セラピストである夫は妻の治療のため、2人がが「エデン」と呼ぶ森に出かけるが、そこは・・・。

初めに断りを入れておきたいのだが、この作品はとても難解な部類に入る。さらには宗教的な知識もあった方が良い。よって1度観ただけなので、解釈が間違っている部分や、記憶が正しくないところが出てきた場合はご容赦願いたい。
またある程度のネタバレ無しには書けないのでその点もご容赦頂きたい。

ストーリーは全6章で構成される。プロローグで子供が転落死するシーン。これがモノクロでヘンデルの「私を泣かせて下さい」のBGMがかかり、とても素晴らしい。絶頂に達する瞬間、子供が地面に叩き付けられる瞬間、そして洗濯機が止まる瞬間が全て一致し、アーティスティックで開いた口が塞がらない。

続いて、悲嘆、苦痛、絶望、3人の乞食、そしてエピローグへと続く。悲嘆(Grief)は鹿、苦痛(Pain)にはキツネ、絶望(Despair)はカラスが関係される。これらがキリスト教的にどういう意味を持つかは分からないが、それらが3人の乞食として繋がっていく。

数少ない登場人物である妻は、セックスジャンキーと言えるくらい性欲に溺れている。そして論文を執筆するようなのだが、その研究内容は「中世の魔女狩りや悪魔」である。そして子供への虐待。全てが聖書の教えに反している。
恐らく性欲に取りつかれた妻は、それを悪魔に取りつかれているのと同義で捉え、その研究の為に悪魔や魔女狩りを研究していたのではないか。そこへ自分の子供が転落するのを見ていたにも関わらず、その瞬間の性欲に勝てなかった事で、さらに自分を追い込んでしまった様に見えた。

一方の夫は妻の性欲に応えはするものの、基本的に自分より劣っているという態度で見ていることがうかがい知れる。そして妻に対する無関心は、妻をさらに追い込む事を助長させていったと思える

さて、ここからが解釈の難しいところなのですが、妻は夫に救って欲しかったのでは無いだろうか。普通にセラピーでも良いし、3人の乞食が集まって結果でもどちらもで良いから、とにかく悪魔が乗り移ってるとも言えるこの状態から脱したかったと感じた。最後は自ら歯止めの効かない自分への戒めとして、あそこをハサミで切り取るとこまで追い込まれているのだから。

「自然は悪魔の教会」というフレーズがあったが、聖書やキリスト教では、女性は特に性に関してはかなり抑圧されている。それが自然の下では解放され、本能に従える様になる。また魔女狩りの時代は女性は悪魔扱いされていたこともあり、女性が解放される場所=自然が教会という風に繋がっている様にワタクシは捉えた。

そしてラストシーン。ある意味ここが一番の問題な部分なのではないかと感じたのだが家に戻る夫が途中木の実を食べると、大勢の女性がエデンを駆け上がっていく。女性のこそが「アンチクライスト」だと言ってるようだった。

性描写等が取り沙汰されており、確かにそれも大きなトピックスではあるのだが、一番の見どころはやはり宗教観の解釈だろう。ラース・フォン・トリアー監督自身の解釈を真っ向からぶつけた作品。正直一度観ただけでは解釈しきれないが、そのメッセージ性は存分に伝わってくる。観たまんまを評したのではこの作品の本質に辿り着けない。そんな作品だ。

評価:★★★★★★★★☆☆

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コメント
そうですね。過激な性描写ばかりが取りざたされますが、ハッキリ言ってこれはエロでもなんでもありません。というか、これにエロティシズムを感じるとしたらそのほうが変だとすら思います。
宗教色が非常に強く、エデンの言葉に代表されるとおり、罪と罰的な要素も含まれているので、もしかしたら本質的には日本人には理解できる素地がないのかもしれないですね。
2011/02/28(月) 20:27 | URL | KLY #5spKqTaY[ 編集]
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